青の炎

青の炎

悪くない。正統なアイドル映画。でも、その域は超えませんでした。「アイドル映画にしては・・・」っていうレッテルが剥がれない。数箇所ほど良い描写があったけど、今ひとつインパクトに欠ける。こういう青春モノというか、主人公が未成年の作品というのは、もっと無茶して欲しい。心臓を鷲掴みされるような痛い衝撃が欲しい。でも、この主人公は用意周到すぎるというか、このくらいの時期って感情だけで行動してしまう事があると思うんです。だから、完全犯罪とかじゃなくて、もっと衝動的な犯罪が見たかった。何やらかすか知れない緊迫感みたいなもの。そういうインパクト。
しかし、この二宮ってヤツは『普通』の演技が上手い。普通っぽさとリアルは等しいのかわからないけど、実際に人が目の前で死んでいく時の表情なんかは真に迫っているように思えました。上手く表現できないけど、オーラを消して作品の風景にとけ込めるというか。で、その逆が松浦。オーラ出っ放し。まぁこれは個人的なアレがあってアレなんだと思うけど(何ひとつ具体的じゃねぇ!)。っていうか、意外に出番少ないですね。もっと淡い恋的なものがあると思っていたんですが。そこまで行かないとこも、青さの表れなんだろうか。でも、決して演技が下手というわけではなく、今までの俳優経験はしっかり反映されていると思います。キャスティングに関しては、山本寛斎がなんかダメだった。
ラストはちょっと卑怯ですよね。逃げというか。あれが1番簡単なシメ方ですもん。想像出来てしまうし。あそこでスパッと切ってしまうのも手だけど、見終わってもまだ尾を引くぐらいの最後が見たかった。前者の方が確かにインパクトはあるんですけどね。それにしても、なんでラストカットは松浦だったのでしょう。カメラ目線だし。その辺の意図やメッセージはちょっと伝わりませんでした。
こういう映画好きな人は、「青い春」見てなかったら見てみると良いと思います。あっちの方が個人的にはヤバイと思う。「青の炎」はちょっとキレイすぎるんですよね。もっとえげつなくていいのに。それと、あんまり学校臭さみたいなものが無かったなぁ。そういうところも見たかった気がしますね。